イランイランとは？
種類や効果・効能、精油の活用方法を紹介

　

イランイランとは？

「花の中の花」と呼ばれる熱帯雨林の多い地域を原産としたバンレイシ科の香木植物

イランイランはバンレイシ科の樹木で、原産はフィリピンやインドネシアなどの熱帯アジア地域です。樹高は6〜10mが主ですが、大きい木は20mにも成長します。現在はコモロ、マダガスカル、フランス領のレユニオン島などが主な産地として知られています。
名前の由来はフィリピンのタガログ語にあり、「アランイラン」が転訛したもの、または「花の中の花」を意味する説や、「ilangilang（そよ風に揺れる花々）」から派生したとも言われています。精油は黄色い花から水蒸気蒸留法で抽出されます。
イランイランの香りは、原産地の南国を思わせる温かみのある濃厚な甘さが特徴で、ジャスミンと同じ酢酸ベンジルという成分が含まれているため、香水や化粧品にも多く使われます。そのエキゾチックな香りには、鎮静と興奮のバランスを取り、イライラや緊張を和らげる効果が期待されます。歴史的には、媚薬効果や官能的なイメージから愛の象徴とされ、インドネシアでは新婚夫婦のベッドに花を撒くロマンチックな風習があります。また、インドネシアの人々は、イランイラン精油とココナッツオイル、ウコンの花を混ぜた「ボリボリ」と呼ばれるスキンケアクリームを伝統的な美容法として活用してきました。
イランイラン精油の主要な化学成分は、エステル類（酢酸ベンジルなど）、モノテルペンアルコール類（リナロール、ゲラニオールなど）、セスキテルペン炭化水素類（ゲルマクレンD、アルファ-ファルネセン、ベータ-カリオフィレンなど）など多岐にわたります。主な成分の作用は以下の通りです。
酢酸ベンジルとリナロールは、鎮静、抗うつ、抗不安作用を持ち、リラックス効果と心の安定をもたらします。ベータ-カリオフィレンはエストロゲン（女性ホルモン）の分泌を促す働きがあり、女性ホルモンの調整やPMSの軽減に寄与します。リナロール、ゲラニオールなどは抗菌、抗炎症、抗酸化作用などがあります。全体として、自律神経系の調整（特に交感神経の鎮静）、血圧降下、皮脂バランスの調整、細胞再生促進、催淫などの多様な作用が期待されます。
イランイランは、ローズやネロリのような極端な希少性はないため、極端に高価な部類には入りませんが、品質によって価格が大きく異なります。価格は、花の開花季節が限られていることや、香りの質が繊細なため、抽出方法や管理に手間がかかることなどが影響します。特に、最も香りが繊細で貴重な「エクストラ」グレードは高値で取引されます。一方で、少量でも香りが強く持続するため、コストパフォーマンスが高いと感じられることもあります。

イランイランはどんな香り？

南米を思わせるエキゾチックで温かみのある甘い香り

イランイランの香りは強い花の香りはエキゾチックは甘い香りで主張がはっきりしており、好き嫌いの分かれることもありますが、他の精油とブレンドすることでイランイランの香りを楽しむこともできます。この香りには気持ちを落ち着かせたり、ホルモンバランスを整えてくれたり、気持ちを落ち着かせてくれるといったリラックス効果が期待されます。その香りの優雅さから「シャネルのNo,5」など高級な香水にも使用されるほどです。香りが濃厚で強いため使用量に注意が必要です。

イランイランの種類

イランイラン・エクストラ（特級）

イランイラン精油は、水蒸気蒸留の過程で時間とともに抽出される成分が異なるため、いくつかのグレードに分類されます。
最も早く、抽出開始から1〜2時間ほどで得られるのが「イランイラン・エクストラ（Extra）」で、別名「スペーリア（上質の、特上の）」とも呼ばれます。このエクストラはエステル類が多く含まれており、最も甘くデリケートで揮発性が高く（トップノート）、香水の原料やスキンケアに適したグレードの高い、良質で稀少な精油です。
抽出がさらに進むと、「イランイラン・ファースト（1st）」、「セカンド（2nd）」、「サード（3rd）」のグレードに分かれ、これらは抽出が進むにつれてセスキテルペン炭化水素類（ゲルマクレンDなど）が多くなり、香りが穏やかで、抗炎症作用などが強くなる傾向があります（ミドル〜ベースノート）。
そして、すべての蒸留プロセスで得られた精油をブレンドしたものが「イランイラン・コンプリート（Complete）」と呼ばれ、アロマテラピーではこのコンプリートが最も広く一般的に使用されています。

　　　　

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ファーストグレード（1級）イランイラン1st

【ファーストグレード（1級）】ファーストはエクストラを抽出した後、抽出開始から２～３時間で抽出されます。イランイラン・エクストラとイランイラン・ファーストはフローラルで甘い香りの特徴なエステル類（酢酸ベンジル・安息香酸ベンジル）を多く含みます。

　　　　

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セカンドグレード（2級）イランイラン2nd

【イランイラン・セカンド】セカンドはファーストを抽出した後、抽出開始から6時間ほど経過したあたりから得られる精油です。　精油の成分はエクストラやファーストとは少し異なりエステル類よりも香りが濃厚なセスキテルペン炭化水素類（βカリオフィレン等）が強くなります。イランイラン・セカンドの有用性は神経系の不調や動悸・高血圧といった症状にあります。

サードグレード（3級）イランイラン3rd

【イランイラン・サード】サードはイランイランセカンドを抽出した後、最後に得られる精油になります。サード同様にセスキテルペン炭化水素類（β-カリオフィレン等）が強くなります。β-カリオフィレンにはPMS（月経前症候群）、マタニティーブルー、更年期障害といったホルモンバランスに起因した気持ちの不安定な症状に有用とされています。

イランイランの効果・効能

緊張を緩和してくれる

イランイランには抗うつ作用やホルモンバランス調整作用などがあります。香りを嗅ぐことで肩の力が抜け精神的な疲労や不安・苛立ちを和らげてくれる効果が期待できます。気持ちの緊張や不安イライラが鎮められることで落ち込みを和らげ、ネガティブな感情を緩和してくれます。心身の緊張がほぐれることで安眠にも繋がります。

心のバランスを整えてくれる

ホルモンバランス調整を得意とするイランイランは神経の興奮を鎮めてくれ、過度な不安や緊張、イライラを落ち着かせてくれる作用します。心のバランスを整えてくれるので、リラックス効果とともに、気持ちを明るくしてくれる、不安や憂鬱な気持ちを和らげ幸福な気持ちにしてくれるます。
＊注意：気持ちと高揚させてくれる作用もあるため、集中力を要する時や運転時などは使用を控えるのがおすすめです。

イランイランと女性特有の悩み

イランイラン精油は、**ホルモン分泌を調整**する作用が期待されており、「女性の精油」の一つとされています。そのリラックス効果と合わせて、**月経前症候群（PMS）**や**月経痛**、**更年期**に伴う**イライラ**、**緊張**、**不安**といった精神的な不調の緩和に役立ちます。また、緊張からくる**過呼吸**や**頻脈**を抑える作用もあります。植物性オイルとブレンドしてボディケアに使用することで、香りの相乗効果で深いリラックスが得られ、**PMSに伴うむくみ**や**月経痛**の緩和にも有効です。

イランイランと心のケア（瞑想・スピリチュアル）

イランイランは、その深く甘い香りが神経系の**強壮**と**鎮静**、**高揚作用**を併せ持つため、**不安や緊張で硬くなった心を解きほぐし**、**幸せな気持ち**へ導きます。**催淫作用**もあるとされ、官能的な気分を高めることで知られています。**瞑想**や**リラクゼーション**のサポートに用いられ、**自信の向上**や**自己肯定感**を高める手助けとなります。また、**浄化アイテム**の一つとしてお香や線香に使用されることもあり、空間を癒し、心安らぐ雰囲気を作るのに役立ちます。

イランイランのスキンケア効果

ホルモンバランス調整を得意とする作用はスキンケアやケアケアにも働きかけてくれます。皮脂のバランスを整えてくれるため、脂性肌・乾燥肌どちらにもおすすめです。肌の軟化作用（お肌を柔らかくする作用）保湿作用（皮膚の潤いを保ち、乾燥を防ぐ作用）、収れん作用（皮脂を引き締めてくれる作用）また、頭皮にもよく、皮脂のバランスを整えてくれ髪の成長を促してくれます。＊注意：敏感肌の方には肌刺激が強いため使用を調整し、使用をおすすめします。

ホルモンバランス・更年期トラブル対策への作用

女性ホルモンの減少によって起こる更年期の体や心のトラブルに是非活用していただきたいイランイラン。めまい・頭痛・吐き気・イライラ・発汗・ほてり・冷や汗・肩こりや腰痛・冷え等症状は様々ですがホルモンバランスの調整を得意とし、様々な心身の不調・疲れを和らげてくれます。女性だけでなく、近年は男性でも同様の症状でお悩みの方も増えています。女性だけでなく男性のホルモンバランス調整にも働きかけてくれます。

イランイラン こんな時におすすめ！

緊張をほぐしたい時

イランイランは鎮静作用があり、気持ちが落ち込んでしまったり、パニックや不安を感じた際に緊張を解して心を解きほぐしてくれます。心の緊張がほぐれることで副交感神経が優位に働き、消化器系の不調の緩和にも繋がります。イランイランの華やかで甘い香りは心身の安定に導いてくれます。

ホルモンバランスの乱れを感じる時

ホルモンバランスの調整作用を持つイランイランは女性特有の不調であるPMS（月経前症候群）や月経痛、更年期症状などの症状緩和にも作用してくれます。自分でコントロールできないイライラや不安、神経の高ぶりを和らげ、精神の安定に導いてくれます。自律神経の乱れにも作用してくれます。

安眠したい時

心身の緊張の緩和を得意としたイランイランは安眠や睡眠の質の向上に働きかけてくれます。神経の高ぶりを鎮め、イライラを落ち着かせてくれます。過敏になった神経を鎮めてくれることで肩の力が抜け、心地よい眠りに導いてくれます。

アンチエイジング

イランイランの鎮痛、鎮静、抗炎症作用は紫外線によるお肌のダメージ、年々気になるシミ・シワ・たるみにも作用してくれます。収れん作用もあり、お肌や筋膜の引き締めに働きかけてくれます。お肌が引き締まると、お肌に張りが出てフェイスラインがスッキリします。

イランイラン 精油の活用方法・おすすめブレンド

アロマバス

【用意するもの】
イランイラン2滴、ネロリ2滴、サンダルウッド3滴

【使用方法】
お湯を張った湯船に各精油を滴数垂らし入れます。よく混ぜてから入浴します。女性に多く見られる更年期トラブルや婦人科系の不調におすすめです。

マッサージオイル

【用意するもの】
キャリアオイル30ml、イランイラン2滴、サイプレス2滴、ベルガモット4滴、ゼラニウム2滴

【作り方】
キャリアオイルに各精油を滴数入れて混ぜ合わせたらブレンドオイルの完成です

【使用方法】
作成したブレンドオイルをお肌に塗布し、全身のマッサージに使用します。
※ブレンドオイルは作成後、密封して高温多湿を避け、冷暗所で保管した上で1ヶ月程度で使い切ってください。
※ベルガモットが入ってブレンドなので使用後数時間は直射日光を避けてください。

アロマディフューザー

【用意するもの】
アロマディフューザー、イランイラン1滴、グレープフルーツ3滴、フランキンセンス1滴

【使用方法】
アロマディフューザーに水と各精油を滴数入れて芳香します。
※アロマディフューザー機器の使用方法に従って使用してください。

アロマライト

【用意するもの】
アロマライト、イランイラン1滴、スイートオレンジ5滴、ゼラニウム2滴、ペパーミント2滴

【使用方法】
アロマライトの受け皿に各精油を滴数垂らし芳香します。睡眠前に芳香することで寝付きを良くしてくれ安眠にもおすすめです。

美肌オイル

【用意するもの】
キャリアオイル30ml、イランイラン1滴、スイートオレンジ2滴、フランキンセンス4滴

【作り方】
キャリアオイルに各精油を滴数入れて混ぜ合わせたらブレンドオイルの完成です。

【使用方法】
作成したブレンドオイルをお肌に塗布します。全身をゆっくりマッサージしていただきます。緊張の緩和や自律神経のバランスを整えるのにおすすめです。
※ブレンドオイルは作成後、密封して高温多湿を避け、冷暗所で保管した上で1ヶ月程度で使い切ってください。

イランイランと相性の良い精油

ブレンドで効果UP！香りの相性とは？

イランイランは濃厚で甘い香りが特徴ですが、他の精油と組み合わせることで香りが調和し、より使いやすくなります。特に以下の精油との相性が抜群です。

・シトラス系（オレンジ、ベルガモット、グレープフルーツ）
　→ 爽やかな香りを加え、気分をリフレッシュさせる効果。朝の使用にも◎

・ウッディ系（サンダルウッド、シダーウッド）
　→ 落ち着きのある香りで、就寝前のリラックスタイムに最適。

・フローラル系（ゼラニウム、ローズ、ラベンダー）
　→ 女性らしさを引き出し、ホルモンバランスを整える効果も期待できます。

ブレンドの比率は少量ずつ試しながら、自分好みの香りを見つけてください。

イランイランの口コミ・使用した感想

実際に使用した方のリアルな声をご紹介

・「生理前のイライラが和らいだ気がします。香りを嗅いだ瞬間に気持ちがすーっと落ち着きました。」
・「香りが強いと聞いて不安でしたが、ブレンドすると優しくて癒される香りに。夜のバスタイムに使うのが楽しみです。」
・「男性の私でも心地よく感じる香り。寝る前にディフューザーで使ってから、入眠がスムーズになったと感じます。」
・「更年期の症状がつらかったのですが、イランイランの香りで少し気分が軽くなることがあります。」

SNSやレビューサイトでも、香りの華やかさやリラックス効果に高い評価が多く見られます。今後も実際の体験談を反映していきます。

イランイランは男性にもおすすめ？

実は男性にも効果的なイランイラン

一般的に女性向けの精油と思われがちなイランイランですが、実は男性にも非常におすすめです。

・男性向けフレグランスにもよく使用されており、官能的で深みのある香りが魅力です。
・ストレスの多い現代男性にとって、イランイランの鎮静作用は気分を穏やかに整える手助けとなります。
・不眠や慢性的な疲労感に悩んでいる方には、ディフューザーでの芳香浴がおすすめ。
・また、パートナーとのリラックスタイムに使用することで、空間全体の雰囲気を優しく包み込んでくれます。

男性のアロマ初心者でも扱いやすく、家庭でのセルフケアにも適しています。

イランイラン 精油を使う際の注意点・禁忌事項

イランイラン精油の使用にあたっては、以下の点に注意が必要です。
まず、イランイランには**強い鎮静作用**と**血圧降下作用**があるため、**低血圧の方**が高濃度で使用すると、**めまいや吐き気**を引き起こす可能性があるため注意が必要です。逆に**高血圧**の方には血圧降下作用が期待できます。
また、香りが非常に**濃厚で強烈**なため、高濃度で長時間使用すると、**頭痛や吐き気、めまい**などの気分不良を誘発させてしまう恐れがあり、使用濃度には十分な注意が必要です。マッサージなどで使用する場合は**0.5%以下**など、低い濃度で使用することが推奨されます。
さらに、その香りと作用により**気持ちを高揚**させるとともに、強い鎮静作用を持つため、**車の運転や集中力を要する作業**の際には使用を避けることをおすすめします。
安全上の注意として、**妊娠初期の使用出来るだけ控えるべき、なぜなら、通経作用や子宮収縮作用の可能性は低いものの、刺激が強い精油であるため念のため避け、専門家に相談することが推奨されます。お肌の敏感な方には皮膚への刺激が強いことがあるため、使用量や濃度に特に注意してください。

イランイラン 精油のプロフィール

【原料植物名】イランイラン（ylanglang）
【別名・和名】イランイランノキ
【科名】バンレイシ科
【学名】Cananga odorata,Canangium odoratatum
【主な産地】コモロ諸島（フランス領）、ジャワ、スマトア、マダガスカル
【主な抽出部位】花
【精油抽出法】水蒸気蒸留法
【成分の一例】モノテルペアルコール類リナロール、セスキテルペンアルコール類　ゲルマクレンD、ファルネセン、β-カリオフィレン　エステル類　酢酸ベンジル、安息香ベンジル　不ノールエーテル類　パラクレゾールメチルエーテル
【ノート】ミドル・ベースノート

アロマ資格の全体像や、資格の必要性については以下のページをご覧ください。
アロマ資格・アロマテラピー資格おすすめ比較！費用・期間、選び方を講師が解説

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記事執筆者・監修者プロフィール

藤井由香（ふじいゆか）
日本アロママイスタースクール 講師 / CIDESCO国際ライセンス保持者

ビューティー関連専門学校を卒業後、大手エステティック会社で7年間勤務。
その後、当社直営サロン「Bodysh」で2年間施術経験を積み、平成30年より当スクール講師として活動しています。
現場経験と教育の両方に精通し、これまで多くのセラピストを育成してきました。

専門分野

• アロマテラピー・アロママッサージ技術指導
• エステティック技術全般
• ボディ・フェイシャルトリートメント
• 国際基準に基づく施術指導

保有資格

• ・IBCA認定 講師資格
• ・IBCA認定 国際ボディセラピスト プロフェッショナル資格
• ・日本エステティック協会 認定上級エステティシャン資格
• ・日本エステティック協会 認定トータルエステティックアドバイザー資格
• ・CIDESCO-NIPPON 国際ライセンス（CIDESCOエステティシャン資格）