ジュニパーベリーとは？
種類や効果・効能、精油の活用方法を紹介

ジュニパーベリーとは？

「ジンの香りつけ」として有名なヒノキ科の常緑針葉樹です

ジュニパーベリーは北半球に多く生息する常緑の針葉樹林で、和名を「セイヨウネズ（西洋杜松）」といいます。その和名の由来は、昔の日本では針のように細く尖った葉を持つこの木の枝をネズミよけに使用していたことによるとされています。ツーンとした森林を思わせる清涼感と、ヒノキ科の植物特有のウッディな香りがあり、強いお酒である「ジン」の香りつけとして世界的に有名です。精油を抽出する実（果球）は、未成熟時は緑色、成熟と共に深い紫色に変わり、この成熟した果球を水蒸気蒸留法で抽出します。名前はラテン語で「若返り」を意味する「ユヴェンタス（Juventas）」が語源とする説や、「juniores（若い果実）」から由来している説があります。
ジュニパーベリーは古代から長寿や健康を保つ効果があると信じられてきました。歴史的には紀元前2万年の旧石器時代から利用されていたことが示唆されており、紀元前1550年頃の古代エジプトのパピルスには治療に使われた記録があります。古代ギリシャでは消化促進や感染症予防に、中世ヨーロッパでは魔除けやペストの予防薬として焚かれるなど、空気の清浄化と殺菌作用を期待して利用されてきました。
ジュニパーベリー精油の主要な化学成分はモノテルペン炭化水素類が主であり、アルファ-ピネン（約30～40%）、サビネン（約10～15%）、ミルセン（約10～15%）などが多く含まれます。その他に、ベータ-ファルネセン、モノテルペンアルコール類のテルピネン-4-オール（約3～4%）、カンフェンなどが含まれます。
これらの成分から、ジュニパーベリー精油は心身のデトックスを得意としています。アルファ-ピネンは抗菌、抗炎症、強壮作用を持ち、香りの刺激が副交感神経に働きかけてリラックスを促します。ミルセンやサビネンなどは解毒、利尿作用など、主にデトックス効果に関わる作用を発揮します。テルピネン-4-オールは抗感染症に関わる作用が期待されます。全体として、うっ滞除去、利尿、循環促進、神経強壮、鎮痛、皮脂バランス調整などの作用があり、浮腫み（むくみ）の緩和にも有効です。
ジュニパーベリー精油は、ローズやネロリのような極端な希少性はないため、極端に高価な部類には入りません。一般的に流通している精油の中では比較的標準的な価格帯に位置しますが、品質の高騰、世界的な需要、輸送コストの高騰などの要因により、価格が上昇する傾向が見られます。高品質なものやオーガニック認証品は高くなることがあります。

ジュニパーベリーはどんな香り？

ツンとした清涼感と青みのあるウッディな香り

ジュニパーベリーは北半球に多く生息する常緑の針葉樹林でツーンとした森林を思わせる清涼感のある香りと、ヒノキ科の植物特有のウッディな香りがあり強いお酒で世界的に知られる「ジン」の香りつけとして有名です。
清涼感とウッディな香りは心身に程よい刺激を与え、古来より心身の浄化にも使用されてきました。
香りの刺激はまず副交感神経に働きかけ体に溜まった不要な水分、老廃物の排出を手助けし、循環を促してくれるとともに、心のネガティブな感情をリセットし、交感神経のへの刺激で心身に活力を取り戻させてくれるます。

ジュニパーベリーの種類

ユタジュニパー

ジュニパーベリー精油は、主にヒノキ科のセイヨウネズ（Juniperus communis）の液果（ベリー）から水蒸気蒸留法で抽出されます。
ジュニパーには品種違いがあり、例えばジュニパーモンタナ（Juniperus communis var. montana）は、ベリーだけでなくブランチ（小枝）からも精油が抽出され、よりフルーティーで深みのある香りが特徴です。また、アメリカ南西部（ユタ、カリフォルニア、アリゾナなど）に多く生息するユタジュニパー（ヒノキ科）は、葉や小枝から精油が抽出されます。ユタジュニパーの液果は古くから先住民族や野生動物の食料や装飾品とされ、植物自体が浄化の植物として利用されてきた歴史があり、抗炎症、去痰、利尿、鎮痛などの作用があるとされます。
ジュニパーベリー精油とよく似た精油としては、同じヒノキ科でデトックス作用やウッディーな香りを持つサイプレス、およびシダーウッド・バージニア（植物の種類がジュニパーと同じ属）が挙げられます。

ワンシードジュニパー

ワンシードジュニパーは北アメリカ（テキサス、ニューメキシコ、コロラドなど）に多く生息しており、うっ滞除去、抗ウイルス、利尿、抗炎症作用などを得意としています。
ジュニパーユタとは生息地域が近く近縁種に当たります。しかし、ユタジュニパーに比べ、刺激に強いボルネオンの成分が多くないので、香りも比較的柔らかく、心身への影響や毒性も優しい精油となっています。

ジュニパーベリーの効能

体のデトックス作用

うっ滞除去、利尿、抗菌、抗炎症等の作用を得意とするジュニパーベリーは体内に溜まった不要な水分や老廃物、リンパなどの循環を促し、排出を手助けしてくれます。
循環が促進されることで、血管や筋肉の活動が活発になり、体温も上がりやすくなるため、免疫機能の向上にも繋がります。

心のデトックス作用

ジュニパーベリーの中の成分は抗菌・抗炎症・強壮作用のあるα-ピネンを多く含みます。この成分はウッディ系の精油に多く含まれ、爽やかな香りがします。香りの刺激は脳に届き、副交感神経に働きかけてくれます。副交感神経が刺激されるとリラックスした状態になり、ストレスの緩和や不安を取り除く手助けをしてくれます。副交感神経への刺激の次に交感神経を刺激してくれるので、心に活力、エネルギーをもたらしてくれます。

体を中から温める作用

交感神経を刺激されると、心身の活動が促され循環や筋肉の動きが促進されるため体温が上昇しやすくなります。
体温が高くなると、免疫力も向上し菌やウイルスへの抵抗する力も強くなり、風邪、インフルエンザなどの予防にも繋がります。

浮腫みの軽減作用

浮腫みは本来ポンプの役割をしてくれている筋肉の活動が少なくなり、心臓に戻る血液がうまく循環しないことで起こります。
特に心臓より下の足は重力によって血液が下がりますが、ポンプの役割をしてくれるはずのふくらはぎなどの筋肉が座りっぱなしや立ちっぱなしによって動かず、ポンプの役割を果たさない事によって悪化します。
ジュニパーのうっ滞除去、利尿、循環促進等の作用によって余分な水分や老廃物の排出が促進されると滞りが緩和され浮腫みの軽減が期待されます。

セルライトの蓄積を防ぐ作用

セルライトは血流が悪くなると老廃物が溜まりやすくなり、脂肪細胞が本来の働きをしなくなります。増えた脂肪細胞は周囲の血管を圧迫し、循環を阻害することでさらに老廃物が溜まってしまいます。
その状態で、脂肪細胞が互いに結びつき固まることで燃焼しにくいボコボコしたセルライトになります。一度できたセルライトは分解されにくく、落ちにくいと言われています。
そうなる前に、循環を促し、両廃物の排出をおこなうことでセルライトの予防に繋がります。

>ジュニパーベリーと女性特有の悩み

ジュニパーベリー精油は、体内の老廃物や余分な水分を排出する利尿効果に優れており、むくみの解消に非常に有効です。また、血行促進作用もあるため、冷え性の緩和にも役立ちます。PMS（月経前症候群）に伴うむくみや便秘、イライラなどの精神的な症状の緩和にも推奨されています。むくみ対策として、サイプレスやゼラニウムなどとブレンドし、脚や背中などに塗布してマッサージするのが効果的です。ただし、妊娠中の使用は避ける必要があります（後述の禁忌を参照）。

ジュニパーベリーと心のケア（瞑想・スピリチュアル）

ジュニパーベリーは、「心と体を浄化する精油」と言われており、古くから魔除けとして用いられたり、宗教儀式で焚かれて場を清める薫香として使われてきた歴史があります。精神的な側面では、不安や焦り、神経の緊張を高ぶった気持ちを落ち着け、モヤモヤした気持ちをリセットして前向きに考える手助けをします。瞑想やヨガの前など、頭を切り替えて集中したいときにも空間の浄化を兼ねて使用されます。

ジュニパーベリーのスキンケア効果

ジュニパーベリー精油は、その解毒作用や抗菌作用により、スキンケアにも利用されます。肌を整えて健康的な素肌に導き、ニキビや湿疹、炎症を起こしたお肌のケアに有効です。また、精油に含まれるタンニンなどの成分には、毛穴を引き締める効果や皮膚を保護する効果があるため、脂っぽい頭皮の改善や、傷跡や妊娠線を目立たなくする目的でも使われます。

ジュニパーベリーは「心の浄化」に優れた効果を発揮するとされています。その清々しくウッディーな香りは、ネガティブな感情やストレスを一掃し、精神的な明晰さを向上させます。恐れや不安の軽減を助け、勇気と自信を高め、新たな一歩を踏み出す力をサポートします。古くから空間を浄化する力があるとして、儀式や魔除け、祈りや癒しに使われてきました。瞑想やマインドフルネスの際に使用することで、思考をクリアにし、集中力を高める助けになります。

ジュニパーベリー こんな時におすすめ！

肩こり・腰痛を改善したい時

肩こりや腰痛の原因は様々ですが、血液の循環を促すことで痛みが緩和されます。
マッサージ等がこれに当たりますが、肩こりや腰痛は、立ちっぱなしや座りっぱなし、同じ姿勢が続いたり、姿勢の悪さなどの血行不良によって起こります。
循環を得意とするジュニパーは体内から血流を促進させ、筋肉のコリ、血行不良を緩和してくれるので肩こりや腰痛の軽減に繋がります。

気分転換したい時

ジュニパーベリーの香りは心の浄化を得意としており、ストレスや不安、怒りなどマイナスな感情を抑え、明るく活力のあるエネルギッシュな気持ちに転換してくれます。
心身のわだかまりを解消し、沈みがちな感情を一掃してくれます。

浮腫みを改善したい時

血行不良、運動不足、リンパの循環不良などで起こる浮腫み、特に足のむくみは立ちっぱなし、座りっぱなしの時間が長くなればどんどん悪化します。
ジュニパーベリーにはうっ滞除去や循環促進、利尿作用などがあり、血液循環を促進し筋肉の緊張を和らげる崖でなく、不用な老廃物の排出を促してくれるので、浮腫みの改善に働きかけてくれます。

　　　

ジュニパーベリー 精油の活用方法・おすすめブレンド

マッサージオイル

【用意するもの】
キャリアオイル30ml、ジュニパーベリー2滴、ブラックペッパー1滴、グレープフルーツ4滴、フランキンセンス3滴

【作り方】
キャリアオイルに各精油を滴数入れて混ぜ合わせたらブレンドオイルの完成です

【使用方法】
ブレンドオイルをお肌に塗布します。優しくマッサージを行います。
※ブレンドオイルは作成後、密封して高温多湿を避け、冷暗所で保管した上で1ヶ月程度で使い切ってください
※皮膚刺激があるため、濃度の調整が必要です。またグレープフルーツは光毒性があるのでお肌に塗布後、紫外線に注意が必要です。お肌の引き締め、血行促進におすすめです。

吸引

【用意するもの】
ティッシュ、ハンカチ、ジュニパーベリー1滴、ラベンダー3滴、ユーカリ1滴

【作り方】
ティッシュに各精油を染み込ませます。ティッシュをハンカチに挟みます。

【使用方法】
ハンカチを使って香りを吸引します。清涼感のある香りは喉や鼻をスッキリさせてくれます。風邪やウイルス予防におすすめです。

アロマバス

【用意するもの】
ジュニパー2滴、サイプレス2滴、ゼラニウム3滴、ブラックペッパー1滴

【使用方法】
お湯を張った湯船に各精油を滴数垂らし入れます。よく混ぜてから入浴します。うっ滞除去や利尿作用に優れており、余分な水分、老廃物の循環、排出を手助けしてくれ浮腫みの解消におすすめです。

アロマディフューザー

【用意するもの】
アロマディフューザー、ジュニパーベリー2滴、グレープフルーツ4滴、ローズマリー2滴、ミルラ1滴

【使用方法】
アロマディフューザーに水、各精油を垂らし入れ芳香します。心身のリラックス、自律神経のバランス調整におすすめです。
※アロマディフューザー機器の使用方法に従って使用してください。

アロマジェル

【用意するもの】
アロエベラジェル、ジュニパーベリー、サイプレス、ラベンダー

【作り方】
アロエベラジェルに各精油を滴数垂らし入れます。よく混ぜたらアロマジェルの完成です。

【使用方法】
お肌の吹き出物やニキビなどの気になるところに作成したアロマジェルを塗布します。ニキビや吹き出物の改善や予防におすすめです。
※作成したアロマジュルは密封して高温多湿を避け、冷暗所で保管した上で1週間程度で使い切ってください。

アロマスプレー

【用意するもの】
スプレーボトル、無水エタノール5ml、精製水（無ければ水）35ml、ジュニパーベリー2滴、グレープフルーツ4滴、ローズマリー2滴、サイプレス2滴

【作り方】
スプレーボトルに各精油を垂らし入れて、無水エタノールを入れて混ぜ合わせます。そこに精製水を入れてさらによく混ぜアロマスプレーの完成です

【使用方法】
作成したアロマスプレーを空間に芳香します。気持ちが落ち込んでしまってやる気が起きない時におすすめです。
※アロマスプレーは水を使用しているので作成後、高温多湿を避け、冷暗所で保管した上で1週間程度で使い切ってください。使用前によく振ってください。

ジュニパーベリー 精油を使う際の注意点・禁忌事項

妊娠中は控える。なせなら、ジュニパーベリー精油は、以下の理由から使用に注意が必要です。
* 妊娠中: 通経作用や分娩促進作用を持つ可能性があるため、妊娠中の使用は禁忌とされています。* 腎臓疾患: 強い利尿作用と腎機能を刺激する作用があるため、腎臓または肝臓に疾患がある方の使用は禁忌とされています。
* 高血圧・うつ状態: 「高血圧、うつ状態で使えない」という明確な禁忌とその根拠・理由を裏付ける信頼できる情報は調査結果からは見つけられませんでした。ただし、一般的に刺激作用や神経強壮作用があるため、心身の状態に応じて専門家への相談が推奨されます。

ジュニパーベリー濃度と注意点

ジュニパーベリー精油には、光毒性の報告はありません。しかし、腎機能を刺激する作用が強いため、腎臓疾患を持つ方は使用できません。皮膚への刺激を避けるため、必ずキャリアオイルなどで希釈し、低濃度での使用を徹底してください。また、妊娠中、授乳中、乳幼児の使用も避ける必要があります。

ジュニパーベリー 精油のプロフィール

【原料植物名】コモンジュニパー
【別名・和名】セイヨウネズ
【科名】ヒノキ科
【学名】Jniperus commuis
【主な産地】ハンガリー、シベリア、イタリア、フランス、インド、ブルガリア
【主な抽出部位】熟した果実（球果）
【精油抽出法】水蒸気蒸留法
【成分の一例】モノテルペン類：α-ピネン、サビネン、ミルセン、カンフェン アルコール類：テルピネン-4-オール
【ノート】トップ～ミドル

アロマ資格の全体像や、資格の必要性については以下のページをご覧ください。
アロマ資格・アロマテラピー資格おすすめ比較！費用・期間、選び方を講師が解説

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記事執筆者・監修者プロフィール

藤井由香（ふじいゆか）
日本アロママイスタースクール 講師 / CIDESCO国際ライセンス保持者

ビューティー関連専門学校を卒業後、大手エステティック会社で7年間勤務。
その後、当社直営サロン「Bodysh」で2年間施術経験を積み、平成30年より当スクール講師として活動しています。
現場経験と教育の両方に精通し、これまで多くのセラピストを育成してきました。

専門分野

• アロマテラピー・アロママッサージ技術指導
• エステティック技術全般
• ボディ・フェイシャルトリートメント
• 国際基準に基づく施術指導

保有資格

• ・IBCA認定 講師資格
• ・IBCA認定 国際ボディセラピスト プロフェッショナル資格
• ・日本エステティック協会 認定上級エステティシャン資格
• ・日本エステティック協会 認定トータルエステティックアドバイザー資格
• ・CIDESCO-NIPPON 国際ライセンス（CIDESCOエステティシャン資格）